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 トップ当館の活動所蔵資料展・講演会 > 平成24年度 ミニ展示「近世における学びと遊び-往来物と絵双六を中心に」第2回:学芸大図書館 索引

平成24年度 ミニ展示「近世における学びと遊び-往来物と絵双六を中心に」

第2回 往来物と絵双六から見る子どもの学びと遊び


 東京学芸大学附属図書館の望月文庫や日本近代教育史資料等の特別コレクションには、江戸時代から明治時代にかけて出版された「往来物」と称する庶民向けの教育・実用書や、絵双六などの資料が多数所蔵されています。平成24年度は、「近世における学びと遊び-往来物と絵双六を中心に-」として、「古典文学作品の受容」「子どもの学びと遊び」「作者と絵師」という視点から、特別コレクション資料の展示を3回にわたって行いました。

 第2回目は「子どもの学びと遊び」というテーマで、錦絵、絵双六、往来物等を中心に21点の資料を展示しました。

 「Ⅰ 子どもの学ぶ姿」では、往来物等の挿絵によって寺子屋で子どもたちがどのように学んでいたのかを見ていただきます。年長者に補助されながら声に出して「読み」、筆を使って「書く」ことが子どもたちの重要な学習であったことが分かります。「Ⅱ 子どもの遊び」では子どもの遊んでいる姿と、おもちゃとして趣向の凝らされた絵双六を展示しました。「Ⅲ 学ぶこと生きること」では江戸時代の子どもの教育に大きな影響を与えた書籍を展示しています。「Ⅳ 子どもが学んだ本」では往来物の数々と、子どもの学びの様子を題材としている絵双六を展示しました。

   江戸時代の子どもたちが生き生きと学び、遊んでいた姿を見ていただくとともに、子どもたちがどのような教材でどのような内容を学んでいたのか。そして大人たちが子どもの教育にどのような形で関わっていたのか。これらの資料を通して実感していただければ幸いです。
(監修:黒石陽子 [本学日本語・日本文学研究講座教授])
会  期: 平成24年11月20日(火)~25日(日)
展示場所: 附属図書館1階エントランス
展示資料

Ⅰ 子どもの学ぶ姿

I-1.幼童席書會 ようどうせきがきえ 
[一勇斎国芳 画 泉屋市兵衛(江戸)板 三枚続 左:38.5㎝×25.5㎝, 中:38.5㎝×25.5㎝, 右:38.5㎝×25.5㎝]
 席書とは、年に二回(四・八月)行われた子どもたちの成績発表会。子ども達が日頃の成果を父母や近所の人など、多くの人々の前で披露する。左奥には学問の神様である天神様(菅原道真)の掛け軸がかけられ、壁にはさまざまな書体の祝言や学問奨励の文辞が下げられている。
I-2.絵入り前訓 えいりぜんくん 
[手島堵庵 著 天保14(1843)年7月刊 須原屋茂兵衛(江戸)他板 21.9㎝×15.1㎝]
 子どものしつけについて心学の立場から説いた書。日々の生活の具体的な心がけや行動についてが示されている。見開きの場面は、子どもたちがこれから師の講釈を聞こうとしている所。左上が男子席、右下は女子席と分かれている。それぞれの席の後方には、男子には男親、女子には女親が付き添っている姿が描かれている。
I-3.御式目童子訓 おんしきもくどうじくん 
[澤華陽齋 述 合川珉和 画 文化8(1811)年正月刊 鈆屋安兵衛(京)・加賀屋善蔵(大坂)板
22.5㎝×15.8㎝]
 書名は内題による。右側の丁の上の図は師匠が字突棒で文字を一字一字指し示しながら子どもに素読をさせているところ。右下には子どもの手習いの様子が描かれている。左側の丁には師匠が書いてくれた折手本があり、「山城 大和」と書かれている。子どもはそれを半紙に書き、兄弟子が手を添えて補助している。折手本のもう一方には「河内 和泉」と書かれている。
I-4.御成敗式目 ごせいばいしきもく 
[下河邊拾水 書画 明和9(1772)年正月刊 菱屋治兵衛(京)板 25.7㎝×18.2㎝]
 表紙題簽に「頭書/絵入 御成敗式目 ひらかな/てん付」とある。『御成敗式目』は貞永元(1232)年に公布された鎌倉幕府の基本法典。源頼朝以来の慣習法や判例などに基づき、御家人の権限や義務、所領の訴訟等について成文化したもの。中世においては武家必須の教養となり、近世に入ると庶民の手習い用にも用いられるようになった。男子が本を読んで学んでいる様子。本は大本で娯楽用ではなく、学習用の内容と思われる。
I-5.〔女調法記〕 おんなちょうほうき
[15.8㎝×18.3㎝]
 『女調法記』は女子一般の教訓を含む女性生活百科の性格を持つ書。種々のものが刊行されたが、本書は『女調法記』部分の後半に絵入百人一首が付いている。絵は女子が手習いをしているところ。左側に折手本を置き、女師匠が手を添えて書かせている。
I-6.庭訓往来 ていきんおうらい
[下川邊拾水 書画 正徳5(1715)年孟春元彫 文化3(1806)年孟春再刻 菊屋七郎兵衛(京)板
25.8㎝×18.3㎝]
 表紙見返しに「頭書/調法/絵入 萬寶庭訓往来」とある。『庭訓往来』は南北朝時代に作られ、中世から明治初年にいたるまで最も普及した往来物の一つ。二十五通の手紙文により構成されている。本書はこれに小謡、証文の書き方、筆道についてを加えて編集されている。絵は師匠の前で、袴を着けて正装した少年が大本を広げ、字突棒で一字一字さしながら素読している様子。

Ⅱ 子どもの遊び

Ⅱ-1.豆満喜雙六 まめまきすごろく 
[一鵬斎芳藤画 辻岡屋文助 板 53.0㎝×47.5㎝]
 節分の豆まきの絵を中央に配して上がりとし、「鬼○外(おにわそと)」で「おに」のつく言葉は外側の輪、「福○内(ふくわうち)」で「ふく」のつく言葉を内側の輪に配した廻り双六。コマは「おにしめ」「鬼の念仏」「おには」、「おたふく」「風がふく」「げんぶく」など。
Ⅱ-2.子をとろのしかへし こをとろのしかえし 
[二枚続 左:35.4㎝×24.7㎝, 右:35.6㎝×25.0㎝]
 「子をとろ子とろ」の遊びの様子。一人の子が親となり、その後ろに子どもたちが続いて、前の子どもの帯を掴んで長くつながる。一人の子が鬼となって、親の後ろにつながっている一番後ろの子どもを捕まえようとし、それを親が防いで捕まえさせないようにする遊び。ただし、この絵自体は遊びになぞらえた政治風刺画である。

Ⅲ 学ぶこと生きること

Ⅲ-1.和俗童子訓 わぞくどうじくん 
[貝原益軒 著 安永2(1773)年9月再校 澁川清右衛門(大坂) 板 22.2㎝×15.9㎝ 五巻三冊] 
 益軒が八十一歳の折(宝永7(1710)年)に著述したもの。益軒の教育思想が体系的に組み立てられた書であると同時に、我が国最初のまとまった教育書でもある。「総論」「随年教法一」「読書法」「教女子法」から成る。
Ⅲ-2.初学訓 しょがくくん 
[貝原益軒 著 享保3(1718)年陽月 茨木多左衛門(京) 板 23.0㎝×15.9㎝ 五巻五冊]
 初学者のために、学問とは何か、学ぶためにはどのような方法があるかを説いた書。
Ⅲ-3.都鄙問答 とひもんどう 
[石田梅岩 著 元文4(1739)年孟秋刊 山村半右衛門・小川新兵衛(京)板 27.5㎝×18.2㎝
四巻四冊]
 心学の始祖石田梅岩が初めて刊行した書で、心学の根本的な経典。一巻は本書の序論の性格を持つ「都鄙問答の段」から始まり「孝の道」「武士の道」「商人の道」と続く。開いている丁は「商人の道」。
Ⅲ-4.道二翁道話 どうにおうどうわ 
[中澤道二著 22.5㎝×15.6㎝ 六編十四冊]
 初編の刊行は寛政7(1795)年6月。最終編の六編の刊行は文政7(1824)年。いずれも江戸・京・大坂で刊行され、六編は名古屋でも刊行された。絵は心学の講釈を聴く聴衆の様子。男女の席は分かれており、人々の表情が生き生きと描かれている。先に展示した『絵入り前訓』(Ⅰ-2)の絵と比較してみると興味深い。

Ⅳ 子どもが学んだ本

IV-1.春興手習出精双六 しゅんきょうてならいしゅっせいすごろく 
[49.0㎝×37.0㎝] 
 「弟子入りいろは」が振り出しで、出たさいころの目に従って指定されたコマに移動する飛び双六。各コマの中に子どもたちが手本とした往来物の名称が散見され、「風月往来」「商売往来」「隅田川往来」「庭訓往来」「女今川」「江戸方角」「国尽」等がある。最上段には左に「席書」右に「褒美」が描かれ、各コマには芭蕉を始めとする発句が書かれている。
IV-2.庭訓往来 ていきんおうらい 
[文化戊辰(文化5{1808}年) 再板 西村屋與八板 26.5㎝×18.2㎝] 
 表紙題簽には「初學博知/本朝文則 永寿庭訓往来萬徳蔵 完」とある。「春ノ始ノ御祝ハ、向テ貴方先祝申候‥‥」から始まる一連の手紙文に加えて「小児書画を学図」「墨筆硯紙の図」「和朝文法秘決鈔」「大日本国名尽」を始めとする22項目が付加されている。
IV-3.江戸方角 えどほうがく 
明和2(1765)年開板 寛政5(1793)年再校 西村屋與八 板 18.2㎝×12.8㎝]
 一丁裏・二丁表に「御江戸名所方角書」とある。江戸城を基点とし、その外東に位置する和田倉から八重洲河岸、龍口、呉服橋、日本橋、堺町と江戸の地名が並べられている。本文上部には「東叡山寛永寺」「浅草」などの土地の由来の解説が付く。
IV-4.隅田川往来 すみだがわおうらい 
[明和8(1771)年開板 寛政4(1792)年再板 西村屋與八板 18.2㎝×12.8㎝]
 「昨日は御庭前の花に戯れ」で始まる女性の手紙文の形式。木母寺の梅若忌に際して隅田川一帯の散策を奨める内容。本文上部には「食礼の式」「酒礼」「書法大概」「封目之事」「和製文字」「七夕歌づくし」などがある。
IV-5.商売往来 しょうばいおうらい 
[18.2㎝×12.8㎝]
 表紙に貼られた題簽には「頭書/絵入 栄家商売往来 全」、表紙見返しに「頭書/増補 満徳商売往来 謬字/改正」とある。「凡商売持扱文字員数取遣之日記証文注文請取質入‥‥」で始まる文章で、商売に関する商取引の記録文字等、貨幣名、商品名、商人生活の心得等が書かれている。上部付録には「大日本国尽」「五性名題字尽」「算盤異名」「銭うりかひ算」「片かないろは」などがある。
IV-6.問屋往来 といやおうらい 
[文化12(1815)年12月 河内屋喜兵衛(大坂)板 22.2㎝×15.7㎝]
 表紙見返しに「頭書/平仮名/絵入 問屋往来」とある。「江戸覃関八州は惣而小番六拾目之通用なり大坂表は諸大名の仕様賄方‥‥」で始まる手紙文で港や問屋で取引する商品名などが挙げられている。上部には「筆道指南」「時候の事」「七夕の詩歌」「吉書初詠歌」などがある。
IV-7.風月往来 ふうげつおうらい 
[再板本 西村屋與八 板 18.2㎝×12.5㎝]
 表紙見返しに「鳥居清経」とある。書き出しが「初春之御慶賀重畳申籠候畢。抑子日御会難忘存候‥‥」の新年の挨拶文から始まり、一年十二ヶ月十二通の消息文から成る。本文上段には「十二月異名絵抄」「新撰童子教訓歌」「三体いろはの事」などがある。
IV-8.風月往来 ふうげつおうらい 
[21.8㎝×15.7㎝]
 表紙題簽には「新板 風月往来」とある。板元は十二丁裏に「八もんじや八左衛門板」(京)。後表紙見返しに「菱屋治兵衛板」とある。書き出しが「初春之御慶賀重畳申籠候畢。抑子日御会難忘存候‥‥」の新年の挨拶文から始まり、一年十二ヶ月十二通の消息文から成るのは西村屋板と同じだが上段の付録部分が無く、本文のみである。
IV-9.女今川教訓 おんないまがわきょうくん 
[26.7㎝×18.2㎝]
 表紙題簽には「女今川教訓序」とある。板元は「奥州会津若松下一之町北側中程 齋藤八四郎」とある。「女今川」は貞享4(1687)年に刊行された系統と元禄13(1700)年に刊行された系統があるが、これは前者。家庭における女性の心得全般を諭した内容となっている。上段には「婦人躾方 たしなみの事」「五節句之事」「仮名遣ひ大概」等がある。











※往来物や絵双六についてもっと知りたい方はこちらへ
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