A thing of beauty is a joy for ever.
John Keats
最近,「物理は嫌い」という高校生が増えているそうだ。でも,本当に,あなたは物理が嫌いなのだろうか。例えば,空を見上げてみよう。「なぜ,空は青いの?」「なぜ,夕焼けは赤いの?」「虹はどうしてできるの」・・・子供の頃に,こういった素朴な疑問を持ち,その秘密を知りたいとは思わなかっただろうか。上のような疑問に答えてくれるのが,物理学なのである。しかし,高校の教科書のどこを見ても,空が青い理由など載ってはいない。本当に知りたかったことは未だに分からないまま,ただ,無味乾燥な計算問題ばかりがあなたの頭に,物理の印象として残ってしまった・・・。これでは,嫌われても仕方がない。
本当の物理は,空が青い理由を教えてくれる学問なのだ。大学には,本当の物理が待っている。たとえ,講義で習うことが出来なくても,大学は,自主的に学問をする場なのだから,自分で調べてみればよい。その手助けをしてくれそうな参考書を,下にあげておいた。
空の色の秘密が分かると,青空や夕焼けはますます美しく見える。空を見上げながら,宙に浮かぶ空気分子たちが光を散乱している様子を思い浮かべるのは楽しいし,それと共に自然のしくみの見事さに深い感動を覚えずにはいられない。そんな美しさと感動に,限りなく出会えるのが物理学なのである。
副 読 本
これは数式を殆ど用いずに,基礎的な物理概念を説明したもので,講義などで難しく感じた内容の理解の助けになるだろう。
これは文科系のためのテキストである。
このシリーズは普通の教科書とは大いに異なり,これだけで基礎を学ぶのはちょっと無理だろう。しかし,通常は見過ごしてしまうような事や,難解な概念を手品のようなやり方で見事に説明してみせる。物理を本格的に学びたい人には,特に推薦できる。
これは,物理に用いられている数学を,分かり易く説明している。学部のレベルの物理数学の理解なら,この本で十二分であろう。
現代物理学の解説書
どちらも,数式は少ないが入門書としてはしっかりと書かれている。一般相対論を中心とした内容となっている。
これは情熱に溢れた,素晴らしい本である。前書きだけでも,皆に読んでもらいたい。
これは,量子電気力学の産みの親の一人である著者自身による入門書。素人の君がわからないとしたら,それは僕の書き方が悪いんだとのことである。
上の2冊は,一流の研究者による,一流の解説書である。後者は,超弦理論までを対象としている。
ホーキング,宇宙を語るは世界的ベストセラーになった本ではあるが,内容は難解である。
現代は,多数の一般向けの解説書が出版されているので,気ままに本屋で面白そうな本を探して読んでみるのもよいだろう。また,月刊雑誌パリティ(丸善)には,現代の物理学の最もホットな話題が比較的易しく解説してある。本学の図書館にも置いてあるので,利用してみよう。
物理学者の伝記
これは特に女性に薦めたい。大きな感動を呼び起こすであろう。尚,マリー・キュリーの書いたピエール・キュリー伝も白水社から出版されている。
これは,姪の目から見たランダウ(旧ソ連の代表的な物理学者で,有名なランダウ・リフシッツ理論物理学教程の著者でもある)の姿が生き生きと描かれている。諸君はきっと,天才物理学者の意外に人間的な側面に驚くことだろう。
こちらは,合衆国の代表的な物理学者であるファインマン(先に紹介したファインマン物理学の著者でもある)の自伝であるが,題名から推察されるように普通の自伝とは全く違う。とにかく面白い。
これは,湯川自身が,後にノーベル賞受賞の対象になった中間子論を築くまでの半生を書いたもの。ランダウやファインマンと比較してみるのもいいだろう。
これも自伝であるが,文学的・哲学的にも優れた名著である。読者を,ハイゼンベルグと共に,ボーアやパウリ,ディラックと量子力学について語っているような気分にさせる。弱冠24才のハイゼンベルグが行列力学を発見するくだりは,若い諸君らの胸を熱くするだろう。
これは物理学から見たアインシュタインの伝記とでも言うべきだろう。力作である。式はまだ分からなくても,思想的に得るものは十分にあると思う。
物理学の発展史
いわゆる現代物理学以前までの物理学の発展を描いた,朝永らしい名著。
アインシュタインならではの物理の捕え方に学ぶ所が多い。
物理学の辞典
これらは,分からないことを,とりあえず調べるのに便利である。前者は小項目形式で物理用語を調べるのに都合がよく,後者は大項目形式なので学習するのに都合がよい。
(大井みさほ・日高啓晶・新田英雄)